新型CB1000Fは、CB-Fの精神を令和に継承した“ネオ・クラシック”の代表格とも言えるバイクです。
多くの人がかつて夢見たCB1100Fの現代復活を期待する中で登場したCB1000F。その姿やコンセプトには、確かに1980年代のCB-Fシリーズが持っていた「熱」が感じられます。
この記事では、“昭和のCB-F”と“令和のCB-F”を対比しながら、新型CB1000Fの魅力を掘り下げていきます。
■1. かつてのCB-Fとは?
CB-Fシリーズは1980年代初頭、ホンダがレース技術をフィードバックして送り出した空冷DOHC4バルブの名車群。
中でもCB750F、CB900F、CB1100Fは、空冷直列4気筒エンジンと角ばったタンク形状が特徴で、「走り」と「美しさ」を兼ね備えた存在でした。
その完成度の高さから、現在でも多くのファンがレストアし、カスタムし、大切に乗り続けています。
あの時代のCB-Fは、まさに“昭和のホンダ”が誇る最高傑作のひとつでした。
■2. 新型CB1000Fに受け継がれたもの
2024年のモーターショーで発表されたCB1000F。
ネオレトロなデザイン、角型タンク、シンプルなヘッドライト、そして空冷風の水冷エンジンカバーなど、見た目は完全に“CB-Fの再来”。
ベースとなるのはCB1000Rでありながら、その装いは明らかに80年代のCB-Fにインスパイアされています。
完全復刻ではない。
しかし、「CB-Fらしさ」は、細部のデザイン、造形、佇まいに確かに宿っています。
■3. 昭和のCB-F、令和のCB-F
ここで対比してみましょう。
項目 | 昭和のCB-F(CB1100Fなど) | 令和のCB-F(CB1000F) |
---|---|---|
エンジン | 空冷直列4気筒 | 水冷直列4気筒(CB1000Rベース) |
フレーム | ダブルクレードル | モノバックボーン(現代的構造) |
デザイン | 角タンク、直線的 | 角タンク風、クラシック調モダン |
安全装備 | 無し | ABS、トラクションコントロール |
計器類 | アナログメーター | フルデジタル、多機能メーター |
まさに、外観はクラシック、中身は最先端。
これこそ“令和に蘇ったCB-F”と呼ぶにふさわしいバイクです。
■4. なぜCB1100FではなくCB1000Fなのか?
多くのファンが「CB1100Fの復活」と期待した中で、ホンダが出してきたのはCB1000F。
なぜなのか?
考えられる理由は主に2つです。
- 現行モデルCB1000Rをベースにすることで、製造コストや性能を担保できること。
- かつてのCB-Fの名前をそのまま使わず、現代の新しいスタイルとして再定義したかったこと。
結果として、CB1000Fは「CB-Fらしいけど、完全な復刻ではない」立ち位置に仕上がっています。
■5. 旧車と現代車、どちらが魅力的か?
これはもう、好みの問題です。
旧車(CB1100Fなど)の魅力は:
- 空冷の鼓動感とエンジンフィーリング
- 無骨な作りと当時の情熱
- レストアやカスタムの楽しみ
一方、現代車(CB1000F)の魅力は:
- 安心して走れる最新装備
- 軽量で高剛性なフレーム
- カスタムしやすい電子制御システム
どちらが優れているというより、「どう楽しむか」が大切です。
■6. まとめ:昭和のCB-F、令和のCB-F
CB1100Fではなかった。けれど、CB1000Fは確かに**“CB-Fの魂”を引き継いだ1台**です。
1980年代――昭和の時代に生まれたCB-Fは、空冷4発の美学と直線的なデザインで、多くのライダーを魅了しました。
そして現代――令和のCB-FことCB1000Fは、水冷エンジンと最新技術を搭載しながらも、あの頃の情熱をしっかりと宿しています。
クラシックバイクの美しさと、現代技術の安心感を融合させたCB1000F。
それはまさに「令和に蘇ったCB-F」と呼べるでしょう。