第2章:「理性の完成品」CBR250RRが若者に支持される理由
NSR250Rが“命を削る爆発力”だとしたら、CBR250RRはまさに“研ぎ澄まされた現代の完成品”だ。
初代モデルが登場したのは2017年。
NSR250Rからちょうど20年以上の時を経て、「再び250ccスポーツが熱い!」と若者たちの心を掴んだマシンだ。
■ CBR250RR──高性能と扱いやすさの両立
まず、CBR250RRが“ただの250”でないことは、乗ってみればすぐにわかる。
- 出力:41馬力 / 13,000rpm
- エンジン:水冷DOHC並列2気筒
- フレーム:スチールトラス+アルミスイングアーム
- 電子制御:ライディングモード、スロットルバイワイヤ
現代の250ccで、ここまでのスペックと制御技術を搭載したバイクは数少ない。
そして何よりも重要なのが、「全てがちょうどいい」ということ。
- パワーは十分。だが暴れない。
- 軽快に曲がる。だが神経質じゃない。
- 高速道路でも不足なし。だが初心者でも扱える。
■ CBR250RRは“今の若者”が求めた理想形
今の若者は、バイクに「非日常の移動手段」を求めている。
ただ速いだけじゃダメ。見た目も、音も、雰囲気も重要。
CBR250RRはそのすべてをバランスよく満たしている。
特にポイントなのがこの4つ:
- デザインの先進性
未来的なフルLEDのフェイスに、鋭角なカウルライン。
NSR世代の人間から見ても、ちょっと“ガンダムっぽい”とか思ってしまう。 - 排気音の気持ちよさ
並列2気筒ながら、かなり図太く乾いたサウンド。
アクセルを開けたときのレスポンスも鋭く、吹け上がりも気持ちいい。 - 電子制御で安心感アップ
スロットルバイワイヤやライディングモードにより、街乗り〜ワインディングまで幅広く対応。
初心者がミスしても、バイクがある程度フォローしてくれる。 - 維持コストが“リアル”
燃費も良く、部品供給も安心。日常的に乗れる現実的なSS(スーパースポーツ)。
つまり、CBR250RRは「気軽に乗れて、ちょっと無茶もできる、しかもカッコいい」バイクなのだ。
■ NSR250Rとは真逆──だが優劣ではない
CBR250RRに乗ったあとでNSR250Rに乗ると、多くの人がこう言う。
「NSR…めちゃくちゃヤバいけど、疲れるわ…」と。
それもそのはず。NSRは公道で日常的に使うには、あまりにも尖りすぎている。
でもCBR250RRは違う。街乗り、通勤、ツーリング、ワインディング──なんでもこなす“オールラウンダー”なのだ。
じゃあNSRが劣ってるのか? いや、そうじゃない。
CBRは理性で作られた“完成形”。
NSRは狂気で作られた“快楽装置”。
どちらが上とか下ではなく、「何を求めるか」で選ぶべきものなのだ。
■ あなたは“快楽”と“完成”どちらを選ぶ?
例えば、あなたが週末ライダーで、
たまに気持ちよくワインディングを流したいなら、CBR250RRは完璧だ。
でも、
「バイクと格闘したい」
「乗るたびに心が震えるバイクがほしい」
「レストアを含めて、バイクと向き合いたい」
そんな思いがあるなら、NSR250Rが人生を変えるかもしれない。
■ もし今、どちらかを手に入れるとしたら?
2025年現在、CBR250RRの新車価格は約90万円前後。
NSR250Rは、程度次第で50〜150万円とピンキリ。しかも玉数は激減中。
だけど、もしNSR250Rの不動車を30万円で見つけて、
「これを半年かけて再生しよう」と思えるなら──
そのバイクは、単なる移動手段ではなく、“人生の相棒”になる。
■ 答えは人それぞれ。でも、比べる価値はある
NSR250RとCBR250RR。
どちらも、ホンダが本気で作った「250ccスポーツの傑作」だ。
今は亡き2ストの狂気と、現代の電子制御の完成。
どちらも魅力的だし、どちらも“今”乗る意味がある。
もしあなたがバイクに本気なら。
どちらを選ぶにしても、後悔はしないだろう。