■ 初めての愛車は「NSR250R」
バイクの免許を取って、初めての相棒に選んだのは今ではもう手に入らない名車「NSR250R」。
2スト独特の加速感に魅了され、何よりそのフォルムと音さらにあの白煙に惚れ込んでいた。
ただ、初心者にとってはなかなかハードルの高いバイクだった。
というのも、NSRはセパレートハンドルで前傾姿勢がかなりキツめ。
街乗りどころかツーリングの途中でも、手首や腰にくる疲労感がすごかった。
でも、そんな大変さも「俺はスポーツバイクに乗ってるんだ。あのGPレーサーと同じバイクだ。」という誇りに変えてくれていた。
■ やらかしたのはツーリング途中の駐車場
そんなある日、友人たちとツーリングへ出かけた。
しばらく走って疲れてきたので、道中の駐車場に立ち寄って休憩することに。
ゆっくりとNSRを停め、降りようとした瞬間――「あ、スタンド出してない!!」
友達も「スタンド!!」と言いかけた瞬間
気づいた時にはもう遅く、NSRは右へゆっくりと倒れていった。
あのスローモーションのような瞬間、いまでも鮮明に覚えている。
どうすることもできず、ただ見届けることしかできなかった。
ガシャーンという音とともに、心も一緒に倒れ込んだ。
■ バイクも心もダメージを受けたけど…
幸いにも、バイクは大きなダメージはなかった。
ミラーに小さなキズが入っただけだったが、初めての立ちごけというショックは大きかった。
「なんでスタンド出し忘れたんだろう」
「ツーリングでカッコつけてたのに、めっちゃ恥ずかしい…」
そんな思いが頭をグルグル回っていた。
■ 今となっては笑い話。でも、忘れられない“通過儀礼”
今になって思えば、あれも良い経験。
スタンドの確認という基本動作の重要さを、身をもって学んだ瞬間だった。
立ちごけは、バイク乗りなら一度は通る道。
今でも立ちごけはする。
でもその立ちごけは「バイクとの向き合い方」や「操作の基本」を思い出させてくれる。
調子にのるなとバイクが言っているようだ。
■ これから免許を取る人へ
初めての立ちごけ、心が折れそうになります。
でも、それをきっかけにもっとバイクを大切に思えるようになります。
NSRで立ちごけしたあの一瞬も、いまではバイク人生の貴重な1ページ。