― 憧れと現実、その間にあるもの ―
「旧車に乗ってみたいんです」
そう言われることが最近増えました。確かに、あの独特のフォルム、キャブの匂い、金属的なエンジン音。現代のバイクにはない“味”が旧車にはあります。
だけど――それだけじゃないんです。
■ 旧車に惹かれる理由
・CB、Z、KH、SR――今ではすっかりプレミア価格。
・Instagramで見かける、あの雰囲気。
・「バイク好きなら一度は通る道でしょ」と言われる空気。
旧車は、確かに“美しい”。その佇まいだけで絵になります。だから、乗ってみたくなる気持ちは痛いほどわかる。
■ でも、維持は「趣味」ではなく「覚悟」
旧車は生きています。気温や湿度、乗る頻度、置き場所――それだけで機嫌が変わります。
たとえば、こんなことが日常です:
- エンジンがかからない朝
- 急に漏れるガソリン
- 走行中にボルトが脱落
- 部品が「国内にない」
- 修理のために数週間待機
自分である程度触れないと、維持費は青天井です。工賃だけで新車1台分いくことも珍しくありません。
■ 自分で直す、という「技術」と「哲学」
でも、そこで諦めない人だけが味わえる世界もあります。
キャブを分解してガソリン臭にまみれ、プラグの焼けを見て「この焼け色なら調子いい」とニヤリとする。
こういう感覚は、旧車にしかない「愛着」そのもの。
正直、自分も最初は師匠にバカにされてました。
「そんなの、お前に直せるのか?」って。
でも、その言葉がずっと頭にあって、今はキャブの清掃や点火チェックくらいならできるようになった。
■ 「旧車に乗る」とは、タイムスリップではない
懐古主義で旧車を選ぶ人もいますが、実際は違う。
「不便と付き合いながら、それでも乗りたい」という“変わった愛情”を持てるかどうか。それが分かれ目です。
見栄でも流行でもない、「自分の好き」を突き詰める。
それが旧車乗りの世界です。
■ もし本気なら
- 屋内保管:雨ざらし厳禁。
- 整備記録:前オーナーの手入れが見える個体を選ぶ。
- 信頼できるバイク屋:共に付き合う“相棒”のような存在が必要。
最後に
旧車に惹かれるなら、それはあなたの中に“機械への愛情”がある証拠かもしれません。
だけどその愛は、試される。何度も何度も。
そしてそのたび、バイクとの距離が縮まっていく。
その不器用で泥臭い距離感が、
たまらなく「バイク」なんです。

